化粧品を自社で輸入して販売するには、許可の取得や品目ごとの届け出を行い、ラベル表示を行います。配合禁止・制限成分などの化粧品の基準を満たしていることも必要になります。化粧品の関税は原則として無税です(WTO非加盟国や一部の化粧品を除く)。有資格者や設備構造などの条件から許可の取得が難しい場合は、OEM先に依頼することもおすすめです。ポイントは下記の3つです。
化粧品の輸入・販売に必要なポイント
1. 化粧品の輸入販売とラベル・箱詰め・保管の許可。
2. 品目ごとの届け出。
3. 輸入できる化粧品の基準とラベル表示。
1. 化粧品の輸入販売とラベル・箱詰め・保管の許可
化粧品を輸入して販売する場合には、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、化粧品製造販売業許可が必要です。化粧品製造販売業許可は化粧品の品質の確保などの管理責任を負うもので、都道府県の薬務課に申請することで取得が可能です。
自社で化粧品製造販売業許可を取得する場合は、常任の総括製造販売責任者が在籍していること、品質管理の基準であるGQP、製造販売後安全管理の基準であるGVPを実施することが必要となります。
総括製造販売責任者に必要な資格として、(1)~(3)のいずれかが必要です。
【総括製造販売責任者に必要な資格】
(1)薬剤師。
(2)高校や大学で薬学や化学に関する専門課程を修了した者(理学部や工学部、農学部、工業高校などを卒業し、化学系の専門科目を12単位以上(※目安)取得していること)。
(3)高校や大学で薬学や化学に関する科目を習得し、化粧品の品質管理または製造販売後安全管理業務を3年以上経験した者。
(4)医薬品または高度管理医療機器、または管理医療機器の総括製造販売責任者を経験した者。
化粧品製造販売業許可のみでは、輸入した化粧品の国内での包装や表示、保管を行うことができないため、これらを行う場合には化粧品製造業許可が必要です。化粧品製造業許可も都道府県の薬務課に申請することで取得が可能です。化粧品製造業許可は、常任の責任技術者が在籍していること、製造に必要な設備や器具を備えた構造設備の要件を満たしていることが必要となります。
責任技術者に必要な資格として、(1)~(3)のいずれかが必要です。
【責任技術者に必要な資格】
(1)薬剤師。
(2)高校や大学で薬学や化学に関する専門課程を修了した者(理学部や工学部、農学部、工業高校などを卒業し、化学系の専門科目を12単位以上(※目安)取得していること)。
(3)高校や大学で薬学や化学に関する科目を習得し、化粧品または医薬品または医薬部外品の製造業務を3年以上経験した者。
化粧品製造業許可の取得にあたり、製造所の構造設備の状況などの審査が行われます。化粧品製造業許可はそれぞれの工場ごとの取得が必要です。
化粧品製造販売業の総括製造販売責任者と化粧品製造業の責任技術者は兼務ができます。
※ 自治体により単位の扱いが異なり、約10~20単位が必要となります。
2. 品目ごとの届け出
輸入する化粧品は化粧品基準に適合していること、全成分を容器などに表示することが必要です。製造販売業者は、品目ごとの化粧品製造販売届出書を都道府県知事に提出することが必要です。輸入した化粧品に国内でラベルを貼ったり箱詰めしたりする場合は、通関するまでに、外国製造業者届出(名称や所在地など)を(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出します。もし、輸入品をそのまま販売する場合は、外国製造販売業者届出となります。
【化粧品基準】
・化粧品の原料は、保健衛生上の危険を生じる恐れがないこと。
・防腐剤、紫外線吸収材、タール色素以外の成分の配合の禁止(ネガティブリスト)。
・防腐剤、紫外線吸収材、タール色素以外の成分の配合の制限(ポジティブリスト)。
・化粧品に配合されるグリセリンは100gあたりのジエチレングリコールが0.1g以下のもの。
→厚生労働省の化粧品基準はこちら
全成分を表示しない場合は、品目ごとの製造販売承認の申請を都道府県経由またはPMDAに行います。
3. 輸入できる化粧品の基準、ラベル表示
輸入する化粧品は、化粧品基準などの規制に合っていることが必要です。化粧品の容器またはラベル・箱に製造販売業者名、商品名、製造番号、全成分の表示などが必要です。化粧品の表現は薬機法、医薬品等適正広告基準、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)などの規制に基づき、表示します。
薬用化粧品、薬用せっけんなど、特定の有効成分が一定の濃度で配合されているものは、医薬部外品となるため、製造販売承認が必要となります。
ヘアスプレーなどエアゾール製品を輸入する場合は、高圧ガス保安法に基づく輸入検査または、製品が一定の条件を満たしている場合には、高圧ガス保安法の適用除外となる旨の証明書(試験成績書)を通関時に添付することが必要です。