営業や集客は、売上につながる攻めの動きのために注目されがちですが、ビジネスの縁の下の力持ちは社員を育てること、社員教育と考えています。社員教育の行き届いている企業は、しっかりとリピーターがついているという実感があるからです。商品やサービスを販売することは、俗にいう売りこみをかけることだけではありません。お客さまにどういう対応をするのか、そしてサービスの質が企業の印象を決めます。また、次回も商品やサービスを使ってみようという気持ちは、お客さまの信頼から生まれます。
では、お客さまの信頼はどこから生まれているのでしょうか。それは、日々お客さまと接する社員の姿勢や対応からです。
新入社員として入社する時、何をどうしたらいいのかを分からずに多くの新人は入社しています。そこで、新入社員が自分で経験を通して仕事を学ぶにあたり、新人教育があるかどうかで、会社としての今後のサービスは大きく違ってくると感じています。そしてそのサービスの質で、リピーターがまた商品やサービスを使うかどうかを決めるといっても言いすぎではありません。
新入社員教育は、さまざまなかたちがありますが、まずは社内で経験者にあたる上司や先輩が教えること、また経営者が新入社員に伝えることが大切と考えています。そして、新入社員の教育をしやすくなることを3つお話します。
1.上司から自分がしてもらったことは、部下や後輩にもしてあげやすい。
人は、自分が上司から良い教育や指導を受けている場合には、その教育や指導があったおかげで仕事をしやすいことを実感しています。そのため、部下や後輩にも同じ対応をしたいと考える人が少なくありません。組織の中でも、新入社員だけでなく、上司や幹部など管理職にあたる人を大切に扱い、組織として仕事をしやすいように配慮することから、新入社員の教育環境も整うと考えています。
2.会社に守られている安心感があって初めて、人を育てる余裕が生まれる。
外資系ではなく、一般的な日系企業の場合には、多くの社員は声に出さないまでも、会社が守ってくれることを望んでいます。自分の立場に安心できて、会社からの評価があってはじめて、部下や後輩を育てようという気持ちが生まれます。会社が社員を大切にしてはじめて、上司が部下を大切にできるようになると考えています。
3.指示だけでなく、仕事への姿勢やバックグラウンドを伝えると、人は自分から動けるようになる。
私が新入社員として会社で仕事を始めた時のことを思い出してみると、仕事のやり方、業界や組織のことなど、何をしたら良いのかわからなかったことを覚えています。新入社員は、仕事の背景や、会社や業界の状況がわからないため、仕事を頼まれても、なぜその仕事が必要なのか、そしてどう動けばいいのかについてまったく見当がつきません。言われたことをやるだけでなく、自分から良い状況になるように仕事をしてもらえるためには、どういう理由があってその仕事が必要なのか、お客さまは何をを求めているのか、組織としてどう動くことが良い結果につながるのかを伝えることが必要です。もちろん、人によって価値観や考え方はさまざまですが、経験の豊かな人たちが現場で仕事をすることで得た知識・ノウハウ・情報を新しく入社した社員に伝えて、新入社員が自分で考えて動ける環境を作ることが大切と考えています。